11月23日(水・祝)
午後1時30分より南相馬市小高区の浮舟文化会館研修室を会場として、南三陸町・交流勉強会を開催致しました。宮城県の南三陸町は、先に行われた南三陸町ツアーの学びにもある様に、甚大な津波被害の体験から町に不足していたものは何かを考えたり、復興計画の中に自然と調和する町づくりを提唱し、これからの町に必要なものを住民と一緒につくる取組みをしています。
今回はバイオガス事業の核となる南三陸BIOの取組について、住民の協力により生ごみを分別収集してメタン発酵させ液体肥料に生成して農業利用する循環型のまちづくりについて学ぶと共に、南相馬ではどのような方向性がありそうかを皆で考えました。
■開催プログラム■
第1部 プレゼンテーション 13:30~15:00
1.南三陸町の復興に向けた取り組み
=南三陸町役場 環境対策課 星課長補佐さま
2.南三陸町BIOと循環型の持続可能社会の可能性
=アミタ持続可能経済研究所 角新所長さま
3.南相馬市における、地域バイオガスの可能性
①小高での生ゴミのリサイクル活動事例紹介
=元小高AMO 鈴木さま
②放射能測定センター南相馬 小林さま
=えこえね南相馬研究機構 高橋さま
第2部みんなで意見交換 15:10~16:30
①プレゼンテーションへの質疑や意見交換
②南相馬での今後の取組の可能性を考えます。
第1部 プレゼンテーション
1.南三陸町復興に向けた取り組み
南三陸町役場環境対策課の星さんより、 南三陸町の、環境にやさしく災害に強いまちづくりを目指すバイオマス産業都市構想の中から、住民と協力して進めているバイオガスの取組みをご紹介いただきました。
震災時の教訓から電力や動力の自給を目指した都市構想の中に、木質バイオマス事業とバイオガス事業がありますが、バイオガスの位置づけは廃棄物の減量とリサイクル推進による環境負荷の少ない生活スタイルを目指しています。生ゴミや汚泥から、メタン発酵を通じて、液体肥料とメタンガスを生成しますが、三陸BIOはこの中枢を担っています。
勉強会資料中より抜粋で以下の概要図を
参照願います。
燃えるゴミの減量から生ゴミリサイクルの推進には、同町内に燃えるごみの焼却灰最終処分場がなく、県外の民間処分場を利用していたことも大きな要因となっています。又、合併浄化槽の普及により排水処理が見なおされて、この余剰汚泥も投入物となっています。そして、BIO施設は従来の下水処理場に建てられていて既存タンクを使って液肥を貯蔵するなどのリノベーションをしていました。
導入にあたっての実証実験には多数の住民が手を挙げて進められて実証し、これを町全体に広める為の平成26年に行われた住民説明会には、他にも多くの説明会が行われてるにも拘らず多くの住民の方々においでいただいて話を聞いてもらうことが出来たそうです。随所に町の皆さんが一体となって進めていらっしゃる様子を伺う事が出来ました。
2.南三陸BIOと循環型の持続可能社会の可能性
アミタ持続経済研究所角新さんより、生ごみ等の廃棄物をメタン発酵によりバイオガス化し、液肥利用する取組と、これによる持続可能経済の可能性についてお話しをいただきました。
アミタと南三陸町との繋がりは、震災時に社員の方の知人がこちらにいらしてボランティアい入ったのがきっかけとなりました。その後、本業としての関わりに繋がって、現在、南三陸BIOの運営をしています。現状、BIO内で生ゴミと汚泥から生成される液体肥料は、農地へと利用する地域還元が順調に行われていて利用者にも好評をいただいています。又、メタンガスのエネルギー利用には施設内で使用するだけでは余力があり他の有効な使い方を考えている途中の様です。ここでは自立したエネルギーが得られるので緊急時の避難先として対応出来ます。
この事例で、町の皆さんと一緒に今後どのような町を作ってゆけるかを考え、一枚の絵として書くことから始めて、小さな取組から実行し着実な成果に結びつけて大きく育てゆく取り組みについてお話しいただきました。南三陸町BIOでの挑戦は、2012年度からの実証実験、86世帯の協力、混入物の状況や参加者の声を聞き取り(やってみれば大した手まではない→更に手間のかからない方法の提案へ)、出来た液肥は地域の農業者の方に利用試験してもらう、又勉強会も実施。これを元に町全体に向けた住民説明会の実施、この説明は分別して行い丁寧に同意をもらう。昨年10月にBIOを竣工してから、子供たちへの循環教育、授業の総合的な学習にも取り入れれて、高校生になると科学的な出し物として自ら紹介側へ発展。分別の主役となる女性にも興味を示していただいて婦人会などで施設見学を実施、地元事業者も施設を訪れてより良い分別に協力といったように住民の皆さんと共に資源循環利用への理解を深め合っている様子が伺えます。現在は市の広報を利用して生ゴミ分別の優良地区を発表してモチベーションを保てる工夫をされています。このように住民の方が行政や企業と協力して行う資源循環に繋げたゴミ減量の進め方を学びました。
3.南相馬市における、地域バイオガスの可能性
①小高での生ごみのリサイクル活動事例紹介
小高AMOで代表をされていた鈴木さんより、小高区住民が生ごみを持ち寄り、コンポストで液肥化して再利用していた活動をご紹介いただきます。
小高AMOは「増え続けるゴミを資源として活用したい」という思いから、ごみの焼却および埋め立て処分をなくすことを目指し震災前の小高区で実施されていた住民主体のリサイクル活動となります。リサイクルはごみを住民自らが「小収店」に持ち込むことから始まり、自分で分別カートに入れ26区分します。又、持ち込んだ時にはごみの計量を行い商店街で利用可能な商品券にて還元されていました。その中で生ごみ(食物残渣)については、液化装置で液体肥料にされて野菜作りへと利用されていました。採れた野菜は小収店で直売が行われたり、このリサイクルの取り組みを小学生が見学を行う等して子供たちの環境教育にも取り入れられていました。2005年から小高区の商店街を中心に広がり、2010年度は日量150kgの生ごみが処理されていましたが、2011年の震災で処理施設が津波を受けて損壊する事態となり撤去され、今日まで活動を再開できませんでした。
現在小高区は原子力災害での避難区域解除から4ヵ月が経っていて、地域コミュニティを再生し区民の帰還意欲を高めたいと考えていらっしゃいます。その中でAMO復活を望まれています。再開後の展開としてAMOに基づく廃棄物処理事業を自宅訪問型で行い、帰還した住民とのコミュニケーションにも役立てたいと考えていらっしゃいます。プレゼンでは小高区の地域特色を活かしたリサイクルの様子を伺うと共に、ひと足早く故郷に戻られた皆さんが町に今必要なものを考えて自ら行動し、現状の生活を活気あるものにしたい、新しいまちを豊かにしたいとの熱い思いを感じることが出来ました。
②バイオガスの南相馬における可能性
放射能測定センター南相馬の小林さん、えこえね南相馬研究機構の高橋さんのお二人より、バイオガス施設の規模と特徴を考えたのちに、南相馬でどのような可能性がありそうかをお話いただきました。地域にあったバイオガス施設の規模ごとの先進事例の紹介があり、事例では生ごみや汚泥の他にもエネルギー作物をメタン発酵していて特色を活かた多様な組み合わせや、地域の方の目的にあった施設をつくり利用価値を高め運用している様子を伺いました。生ごみは水分を多く含む為に可燃ごみとしては焼却に燃料を多く使用しますが、メタン発酵させると環境にやさしく処理できる上に生成された液体肥料が地域へ還元され、又、バイオガスは自給できるエネルギーになり、熱や電気に変えて多様に利用が可能と確認し、私たちの町に合うものは何かを考えた具体的なステップ案をご紹介いただいて理解を深めました。
第2部 みんなで意見交換
①プレゼンテーションへの質疑や意見交換
②南相馬での今後の取組みの可能性を考えます
質疑の時間では、ここまでの話を伺って取り組みへの気持ちを高めた分、南相馬での実践に向けて意欲的な話し合いになりました。地域がら放射性物質の除去に関連する内容と合わせて疑問を投げかけ、より詳しい知識を確認することができました。参加された方からはしっかりとした考えが備わったと評価もいただきました。その一例で液肥利用に関してはゼオライト吸着後最終残存分については分離保管を考える等。又、南三陸で課題をクリアし順調に循環できている理由も参考しながら、求める物へのマッチングの良さや、行政・住民・企業などが目指すべき方向を共有できたこと、住民主体で最初の一歩を踏み出すことができたこと、課題となる技術や費用、循環全体を考えること等を意識して進められたらと話し合いました。
その後、南相馬で今後の取組みの可能性では、ごみの減量から食物残渣や剪定枝などをバイオマス化したい、かって存在した堆肥化事業やAMOで見えた課題をクリアして見直さなくてはならないが、気力や協力などAMOの良かった所を伸ばしたい、始まりの合意形成は重要との意見をまとめることが出来ました。そして、小高区で自分たちから取り組みたいを念頭に、具体的な候補地探し、コミュニケーションツール面をどうするか、資金集めについてと熱気に満ちた会話が飛び交う中、プログラムの時間が迫り、次回につなげましょうと意見交換を閉じ今日のプログラムを終了しました。
ご協力いただいたアンケートでは、・南三陸の取組み事例を私たちの
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