南三陸バイオガス 7月スタディツアー            【2017年7月10日】

 宮城県南三陸町は津波による甚大な被害を受けましたが、住民の意見を多く取り入れて復興計画づくりや、住民の協力により生ゴミを分別収集してメタン発酵させ生成した液肥を農業利用する循環型のまちづくりが進んでいます。今回のスタディツアーではこれらの取り組みの様子や施設を見学して、今後に活かしていきます。

◎スケジュール

鹿島区「あさがお」出発     9:30

南三陸町到着        12:00 

さんさん商店街      ~13:10 昼食を含む

南三陸BIO見学      13:30~15:10

南三陸町出発          16:00

「あさがお」到着        18:00

 

◎参加者12名

 ・鹿島区(あさがお、旧ふきのとう、万葉園ボランテイア、老人会)からお越しの皆さん 9名

 ・えこえね南相馬事務局 3名

◎南三陸バイオガスの案内

・アミタ(株)「南三陸BIO」櫛田所長

 南三陸バイオガス事業の取り組みの中心となる施設「南三陸BIO」を見学しました。

 見学では、動画を使って廃棄物がエネルギーや液体肥料といった資源に変わる流れについて説明をいただきました。BIOの1日の処理能力は10.5tとなり、その中で家庭からの生ゴミが2.5t、食堂や民宿などからは1t、し尿汚泥を7tで計画され受け入れが可能となっています。家庭から出る生ゴミは住民の協力により分別回収されています。そして、住民が関われば関わるほどに循環が進み町に還元されてゆく取り組みとなっています。一巡の流れの説明の後は実際の施設を巡って見学しました。

★南三陸BIOの資源循環の仕組み

①分別収集された生ゴミは運搬されるトラックごと計量されて受け入れ量が記録されます。

②生ゴミは投入前に手選別により異物が取り除かれ、投入口で粉砕機によって細かく砕かれます。

 し尿汚泥は授入口より入れます。

③地下の調整層タンクで、酸と一緒に混ぜられて酸発酵します。

④メタン菌が住む300㎥あるメタン発酵槽に送られ、約35℃(中温発酵)で約25日間発酵されます。

⑤メタン発酵からの生成物はメタンガスと液体肥料になります。

 (1)バイオガスはコンテナ内のガスホルダーに貯蔵されます。

   a.バイオガスボイラーを動かして、発酵槽の加温や液体肥料の殺菌に利用。

   b.発電機によってバイオガスを燃料として電気と熱を生み出します。

    電気は施設内の電力をまかなって、余剰分は売電しています。

   (計画値では年間21.9万kWhの発電が可能で約60世帯分の電力がまかなえることになります。)

    発電機の熱は発酵槽の加温に利用されます。

 (2)液体肥料は70℃で1時間殺菌されてから、元下水処理場施設を活かした貯留槽に送られ田畑に利用

    される時期を待ちます。この施設での計画年間量は4,500tになります。

⑥液体肥料(商品登録し販売中)は散布車を使って田畑に還元されてゆきます。10a当たりに5tを目安

 として散布され、水稲、ネギ、牧草などに利用されています。

分別回収生ゴミを手選別し投入口へ

バイオガスと液肥が出来るまでを説明

発酵槽タンク

コンテナ内ガスホルダー


 施設を巡った後には、他の南三陸町内環境にやさしい復興の紹介映像を見ました。森林木材のペレット利用例、養殖牡蠣と様々な挑戦をされています。

 昼食を取った「さんさん商店街」は、仮設商店街から場所を移して2017年3月3日にオープンし沢山の観光客をおもてなししています。主に昼食やお土産の購入といった利用が出来ます。ここは若干の高台となっているので涼風が吹き渡っていました。南三陸の海の素材を生かしたお店が多く美味しい昼食をいただきました。

 軒を並べる南三陸の記録写真館では、震災前の町の様子から、震災後の変貌、現在の復興の様子を伺うことが出来ます。穏やかな四季の写真や甚大な被害をもたらした津波、復興に向けて一歩ずつ前に進む姿へと様々な思いが持てます。


 帰りがけにスタディツアー参加者で、南相馬市ではメタン発酵に利用できる廃棄物はどのくらいあるのだろうか、収集方法やどういった取り組みと合わせることができるだろうか等と意見交換ができました。鹿島区の旧ふきのとうの皆さんは、生ゴミを収集し肥料へ活用経験があります。資源の循環利用では先駆的な考えをお持ちです。町全体で資源循環利用を日々進歩させている南三陸町の取組の様子を一緒に巡っていただいて大変勉強になりました。

イベント情報

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ございません

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