再エネ事業の組織運営と資金調達に関する勉強会に引き続いて、
えこえね南相馬の「ソーラーシェアリング事業」を事例として具体的な進め方の検討会を開きました。
■日時: 12月15日 15:40~16:55
■場所: 南相馬市民情報交流センター 大会議室
■参加者: 約 20名
まず、えこえね南相馬コーディネーターの 中山弘 氏から、ソーラーシェアリング事業の概要と課題のプレゼンがありました。
↓プレゼン資料 ↓
-----------------------------------------------------------------------------------
■ソーラーシェアリングの狙い
農地と太陽光発電の共存
による農業再生と地域活性化
◎農地を活かしながら太陽光発電
・太陽光発電面積:30~(40)%
・農地転用しないで太陽光発電
◎農家所得倍増計画
・農業収入+売電収入
・農業の後継者を増やす
◎南相馬でモデルケースをつくり
日本中に広める
■ソーラーシェアリングの考え方
農地を上下に活かす「立体農業」
太陽の光を、
作物の生育と、発電とで分かち合う
【上側】棚に太陽パネルを置いて発電
・太陽光パネルを疎らに配置し光合成と両立
【下側】作物には生育に適した太陽光を供給
■推進する上での課題
①どんな作物をつくるか
◎ソーラーシェアに適した作物の選定
◎売れる作物の選定
②どんなソーラーユニットを使うか
◎ソーラーシェアに適した架台
・背が高く、軽量・低コスト、20年持つ
◎農地転用しないで済む仕様
・農業に支障がない構造
・コンクリートで固めない基礎
詳しくは資料をご覧ください。
③事業モデル
◎農業を合わせた収益構造の確立
1反(1000㎡)当たり
太陽光分で+50万円以上を目指す
◎出資と収益の配分方法
④事業運営
◎資金調達法
◎地元への経済効果
◎運営形態
・法人形態と役割
---------------------------------------------------------------------------------------------
■ディスカッション
1.発電装置に関して
〇 発電容量 1反で40kwは可能か
・パネル特性によるが、一般的には 1KWあたり 6~8㎡を必要とする。
⇒40kwでは 240~320㎡ となり、一反(1000㎡)の3割程度で可能。
〇 架台のタフネス
・錆に対する耐久性、風に対するタフネスなどが要求される (特に海岸近く)
・いろんな先行例を調べて最適な架台を考えることが大切
2.農業との共存をどうとらえるか
〇農作物と農業収入の実証
・作っていきながらデータを蓄積する
・ほんとに農作物が売れるのか
~ハウス栽培、高床栽培はともかく、露地栽培が売れるか
・口に入れない園芸用の花卉類が向いていそう
・地域特有の農産物との関係をうまくつくる
・三重県は現実に動いている
〇ソーラーシェアリングの意義
・農地再生のために効果的
・農とエネルギーの地産地消
⇒自分たちで社会問題を解決していく!
・土にかかわっていくのは人間の本性
・太陽光保全という考え方が農地を守る
〇太陽光+農業のポテンシャルはあるのか
・これをやりたいという意欲のある人がどのくらいいるのか
・太陽光発電だけにしたほうが良いのでは
・農業だけでは収入が低いから後継者もいない
・兼業農家は土地を手放してソーラーにしたほうが近道
・20km圏内の津波被災地は避けたほうが良いのでは
3.太陽光発電事業+農業の継続性
〇20年間維持していくための保証
・後継者、相続を含めて、きちんとしていくことが大切
・地権者、設置者、農業者の間の権利関係の配慮もいる
(代替わりしてもめないように工夫)
〇耕す人がいるのか
・高齢化しているのに若い人はいない
・子供のいる若い親は帰ろうとしない
・原発事故から一年半、現実は厳しい
〇長いスパンで考える必要がある
・もう一回、農業をやろうと思えるように
・新しい担い手が農業をやるという考え方もある
~農業をやってみたいと思う人もいる
4.えこえね南相馬の取組の方向性
〇再生可能エネルギーで街おこし
・なにか動き出すことが大切
・外からの人たちも入ってきている
・南相馬のメッセージ性を活かす
・自分たちで変えて強い農業をつくりだす
・外から見て、面白そうで魅力ある活動にしていくこと
〇農水省や外部に響くメッセージ性が欲しい
・農業と太陽光発電の共存というよりも「農地を守る」「農業を守る」が良い
・農家の収入を倍増し、後継者を増やし、持続可能な農業に
(農水省の感覚で、農地だけ残しても、耕す人がいなくなったら自給率は減る)
・農水省にとっても、「これはいい!」と思えるようなコンセプトを確立する
〇資金調達と事業性
・ゼロクーポン債で資金を調達する方法もあるのでは
・元本を返すだけで配当の代わりに農産品
・何年間か据え置きという方法もある
・農業収入と、発電収入のシミュレーション精度アップ(利払い等も含めて)
〇公益性を保ちながら、事業を進めていくにはどうするか
・えこえね南相馬研究会は一般社団法人として公益性を保ち、
事業会社を別にする方法が考えられる。
・一般社団法人は誰でも参加でき、外部や地域関連携の窓口となる。
情報やノウハウを蓄積し、地域の人たちの支援をする。
・事業会社は、企業組合か株式会社形式で、具体的な事業を推進する。
5.福島県の意見
〇 総量で80万KWレベルの太陽光発電を設置したい
・被災農地に関しては期間を定めて太陽光発電を認めてもらいたい
・農地20年後復活プラン
・42円/Kwの延長プラン
・農地転用免除に対する農水省のハードルは高い
透過タイプソーラーパネル以外は・・・という意見もある
-----------------------------------------------------------------------------------
勉強会と今後の取組み検討会の両方を通して、以下のような視点が見えてきました。
◎「農地を活かす」
・農業再生、地域再生のための再生可能エネルギー活用というコンセプトとする
・農業収入をダブルインカムにすることで、農業後継者を増やし農地を持続させる
◎ 農地転用のハードルを乗り越える
・法面活用、ハウス利用などを多面的に考える
・ソーラーシェアリングの具体的計画をより鮮明にし、農水省が納得できるものとする
・同時に、他の事例や基本コンセプトを整理して、関係者の協力が得られるようにする
◎ ソーラーシェアリングの課題をクリアーにする
・発電能力、投資・回収、などの事業性
・架台と地面埋め込み部の強度、耐久性、耐候性
・農作物の生育影響へのより見通しを明らかにする
◎ 資金調達と組織形態
・一般社団法人と事業会社とのコンビネーション
・多様な資金調達方法の適切な選択
・地域間連携の新たなスキムづくり
◎ エネルギーと暮らしのあり方
・省エネ、再エネと、暮らしのあり方を考える
・太陽光発電に限らず、コジェネ、バイオマスなど幅広い視点で取り組んでいく
----------------------------------------------------------------------------
今回の、勉強会、検討会の結果を活かして、
継続して検討を進め、H24年度内に、具体的な事業計画に纏めていきたいと考えます。
皆さまの、ご協力をこれからもよろしくお願いいたします。
実施中のイベントは
ございません
■ ■ リンク ■ ■
■ ■ ■
■ ■ ■