第2回 南相馬×南三陸 南三陸町・交流勉強会          【2017年3月5日】

3月5日(日)

 午後1時より南相馬市小高区の「浮舟ふれあい広場」を会場として、南相馬×南三陸町 第2回 交流勉強会を開催しました。(プログラム右図参照)

 昨年11月23日に、同じく小高区で開催した交流勉強会の第2弾となります。好評だった前回に続き、南三陸町で行われている資源の循環利用を学びながらながら、南相馬へ調和させ取り入れることを考えて行きます。今回はバイオガス事業の中核を担う「南三陸BIO」の活動を、中心となり支えている2人からお話しを伺いました。又、南相馬での復興へ向けた取り組み事例を発表し、共有した上で、南相馬バイオガスには、どのような方向性がありそうかを皆で考えました。


第1部 プレゼンテーション

1.南三陸町でのまちづくりとバイオガスの取り組み

 =南三陸町上山八幡宮 禰宜 工藤真弓さん

 工藤さんからは、南三陸町の住民の皆さんの震災後の状況と、復興に向けた住民との協働、循環型の街づくりを目指した意識づくりなどの取組みを紹介いただきました。

 街づくりの流れが一目で分かる巻物を用いていて、とても分かりやすいものでした。

 又、持参された工藤さんの手作りの紙芝居は「南三陸BIO」の働きを助ける為に、家庭から廃棄される生ごみを上手に分別出来るストーリとなっています。又、ご自身で読み聞かせを行っています。幼児も分かり易く引き込まれて行くようにと、可愛らしいキャラクター達が登場します。これにより、お子さんから自然に家庭での分別が浸透して行きます。

 その他にも、分別の最大の協力者となるご家庭で負担を軽減出来るようにと、配布されている生ゴミの分離バケツの改良をしています。工藤さんは、ここでも自ら進んで町民の皆さんと意見を出し合い考えて、企業や行政が住民の意見を取り入れ易い流れを作っています。

 いのちがめぐる町南三陸町・資源の循環・メタン発酵をモチーフとして、工藤さんが画いたキャラクター達が町のバイオガス事業を普及推進を担っています。

 未来の環境を考えた「南三陸BIO」の働きは、町民一人一人の力と志が集まり、大きな成果となっています。それら意見を取り纏め、力強く推進する工藤さん、今日も積極的に町づくりに参加し展開しています。



1.南三陸でのまちづくりとバイオガスの取り組み

 =南三陸BIO 所長 櫛田豊久さん

 櫛田さんからは生ゴミ等の廃棄物をメタン発酵によりバイオガス化し液肥利用する取組みと、これによる循環型で持続可能な暮らしをつくることの大切さをご紹介いただきました。

 今日の勉強会に向けて、南三陸町とアミタのご縁で始まりここに至った経緯を纏めた資料を用意いただきました。官民住民でつくる循環型の町へ向けた取り組みが、バイオガス事業の中核「南三陸BIO」を中心にとても分かり易くなっています。ここで資料の一部をご紹介しながら、町の復興と並行させて、未来へより良い環境を残そうと考えた町の皆さん全員が参加出来る流れについてと、震災以前のゴミ焼却処分から、BIOを通じて再び資源として循環利用される様子をお伝えします。


 櫛田さんから伺ったお話しから、南三陸の町の特徴を生かし住みよい町を目指し協力して進めてきた地域の方々の様子が伝わります。被災後の塩害による表土の入れ替えを行い栄養分が減ってしまった土に、町内資源を利用し生成された液肥が散布されて行きます。沢山の液肥が還元できるのは、住民の皆さん一人一人の心がけのおかげです。この他にも、災害時にはBIOのバイオガスで自立したエネルギー利用が可能となります。

 2016年秋には、液肥の散布後の田んぼから収穫したお米を味わうことが出来ました。この米は「めぐりん米」として販売されました。もっちりとして大変食味が良いそうです。ここでも工藤さん達の手作り新聞を付けて販売されています。

 町の皆さんの愛情から育った南三陸のブランドが、多くの皆さんの手に触れられて行くと良いですね。


2.南相馬でのまちづくりの取組み。

 =えこえね南相馬 理事長 高橋荘平さん

 南相馬の震災後の状況と、除染や復興に向けた取組み、再生可能エネルギーの普及やまちづくりの活動、さらに今後の地域活性化に向けた視点を紹介いただきました。

  震災以降の取組では、住民の安全を守る為にと、産婦人科医のお父様の意志から南相馬除染研究所を開き、綿密な測定と結果の記録から除染活動に参加、市民の食と住の安全を確保してきました。

 その後、持続可能なエネルギーの供給に着手して再生可能エネルギーの導入で、地域に根ざす農業と太陽光発電の共存を考えて、南相馬にてソーラーシェアリングのモデルとなる発電所を開きました。この発電所は、小規模分散型で等身大で出来る大きさになっています。

 

 

  又、地域の農産物を利用した6次産業起こしに積極的に関わって、他地域や都市部との関わりを大切に観光交流も推進、伝統の祭事、相馬野馬追の地を活かした観光も検討しています。

 今後の視点では、南相馬が目指したい姿として、ビジョンの提案があり、環境未来都市・環境モデル都市を目指し、次世代に繋ぐ環境都市南相馬として、現状の南相馬が克服したい課題を検討し、自立した持続可能な暮らしへ向け、未来に向かって取り組みを展開したい構図の発表となりました。

 南相馬で多くの皆さんと協働して、バランスを保ちながら上手に展開出来ると良いですね。


3.南相馬でのバイオガス展開案

=コミュニティバイオガス準備委員会 小林岳紀さん

 小林さんからは、環境にやさしいライフスタイルに向けて、電源別の発電総量の推移にともなった電力の実績を考慮して、南相馬でのバイオガス利用と可能性をご紹介頂きました。

 資料から、電源別発電電力は、福島第1原子力災害以降、天然ガスや石炭等を使用する化石燃料に依存する電力が増え続けています。

 これらを踏まえて、新たな新しいエネルギー開発が不可欠となり、バイオガスで考えると、社会的な課題のゴミ処理にも大きな威力を発揮できます。そして、廃棄物の再生は既に行われている所です。

 廃棄物を利用し環境負荷を軽減しながらエネルギー資源へと活用し、未来へ向けてライフスタイルの価値観の変革をもたらす為には、取り合えず、家庭からの食物残渣を活用するバイオエネルギー取り組む流れを考えて行きますと紹介がありました。

第2部 みんなで意見交換

①プレゼンテーションへの質疑や意見交換

②南相馬での今後の取組みの可能性を考えます

質疑では、まず南三陸のこれまでの取組みと現状に関しての質問が多く出ました。特に、①なぜ循環型の暮らしをつくろうという気持ちになったのか? ②町役場と住民、企業の連携がどう進んできたのか? ③生ゴミ集めへの住民の協力をどう引き出してきたのか?・・・など。

これに対する答えは、
①津波による被害が甚大で、これまでの暮らしの延長に未来がないと思えたこと、震災を機に「命めぐるまち」をつくろうという熱い想いが生まれた、南三陸はごみ処理を他の市町村に委託してきたがこれを見直す必要があった。
② 子どもたちに誇れるような新しい街を作りたい、未来につながるまち、という共通項があった。震災から継続して関わってきたなかの意見を集約して、目指すまちの姿を共有できた。バックグラウンドは自然、「自然と共生するまち」を作りたいという共通の想い。

③まず80世帯ほどで生ごみを集めて、小さな実証試験設備でメタン発酵をやってみて自信を持った。液肥を実際に試してみて、その効果が良くわかった。台所から始めるコミュニティという考えで、婦人会などに活動を広げていった。子どもたちにも学んでもらって家庭にも浸透しました。

 

また、これらの取組みを進める上で、もっとも大切なのは、『なにをやるか』ということよりも『何を目指すか』。⇒目指す姿をしっかり考えて共有することが先で、これをしっかりやれば行動は確実に進むようになる。南相馬でもそのような取り組みを考えたら良いと思います。

★交流勉強会のまとめ

 

アンケートでは、・地震、津波の自然災害に加えて、放射能問題を加えた地域社会の激変を踏まえた地道な取組んで行く。・バイオガスやバイオマスが終着点では無く、その上の将来像が必要なのでは?・対話の場づくり(市民・行政・団体)をもっと進めたい。などのご意見をいただきました。

 

 生ごみの分別収集から、メタン発酵させバイオガスや液肥を生成するのは、南三陸町が先駆的な事例となっています。町内の資源を利用した熱やエネルギーを災害時に利用したり、液肥を用いたお米の販売も進めています。最近は住民だけでなく、事業者の生ごみの活用も始めました。又、住民の協力の際に労力を軽減する為に現状に合わせたさまざまな工夫にも取り組んでいます。

 この後も、環境重視で資源の循環利用を活かした取り組みを広げていくために、南三陸町の事例や、他地区にあるバイオガス事例を学び、南相馬市でも資源再利用へ向けた話し合いを進め、具体的な取り組みにつなげてゆきたいと考えます。

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