12月15日(土)午後に
「地域に根ざした再生可能エネルギー活用」勉強会
を開催しました。
[内容]
再生可能エネルギーの地域利用に関する一般概念と実例を専門家からお話いただき、これをもとに、今後どのような取り組みをしたらよいかを参加者たちで意見交換し、今後の方向性を共有します。
■日時:12月15日(土)13:30~15:20
■場所:南相馬市民情報交流センター大会議室
■参加者:29名(主催側を含む)
■プログラム
<講演>
① 地域に根ざした再生可能エネルギー事業の進め方
◎ 舩橋 晴俊 氏
(法政大学教授 サステナビリティ研究教育機構長)
② 資金調達とファイナンスの課題と対応の考え方
◎ 浦井 彰 氏
(NPO法人 環境エネルギー政策研究所 研究員)
◎ 廣瀬 学 氏
(法政大学 サステナビリティ研究教育機構 兼任研究員)
<ディスカッション>
③ 質疑&取組みの方向性についての意見交換
④ まとめ
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講演①
地域に根ざした再生可能エネルギー事業の進め方
◎ 舩橋 晴俊 氏 (法政大学教授)
はじめに、地域主導型の再生可能エネルギー導入に関して、その意義、事業モデル選定のしかた、資金計画と事業組織、農村部での今後の可能性、などの重要な視点をお話いただきました。
プレゼン資料 ↓
◎再生可能エネルギーの長所と多面的効果
1.自然の循環に根ざしており、枯渇せず、持続可能な社会の形成に貢献する
2.各地に遍在しており、地域の地理、歴史、文化に結びついている。
3.自給を進めることにより、地域経済・国民経済を強化する。→膨大な石油輸入代金の負担縮小、
雇用の創出(ドイツは、太陽電池関連だけで13万人の雇用)
4.互恵的な地域間連携が可能であり、地域間の公平な関係を創出する。
5.災害時における地域の防災能力を高める。
6.地域からの地球温暖化対策に寄与する。
◎事業規模は段階を経ることが必要
*住民がいきなり、大規模な事業を手がけるのは難しい。
*小規模な事業からはじめて、一つの事業のサイクルを「一周してみる」ことが必要である。「一周してみる」ことによって、主体形成とノウハウの獲得が可能になる。
*それをふまえて、2周目(2段階目)は、より大きな規模の事業を企画できる。そして、それが成功すれば、さらに、3周目(3段階目)を構想していくことが可能になる
◎事業化に向けた5つのステップが大切
第1ステップ:講演会などでの一般的知識普及、
第2ステップ:学習会(ワークショップ)までは、
どの地域でも容易に進めることができる。
第3ステップ:事業化準備協議会からが課題
◎事業化への強い意欲を有する人々が、協力しようという姿勢をもって集まることが必要。
・事業計画(施設規模、キャッシュフローの計算)、事業組織計画、資金計画について、それぞれ複数の案を検討する。
*可能になる条件 =「意欲のある個人」
=「責任をもって取り組もうという個人」
結び
大切なことは
◎ 多様な選択肢を検討した上で、実行可能なものを選択する
◎ 事業性(経営合理性)と 社会性(公益性)の両立
◎自治体の役割と住民との連携
→金融機関も含んだ勉強会の組織化、公共施設の屋根貸し
◎意思のあるところに道あり 「本気の人が3人いれば、地域は変わる」
◎3人よれば文殊の知恵 「学習会がすべてである」
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講演 ②
地域再生可能エネルギー事業資金調達
(いくつかの事例)
◎ 浦井 彰氏 (環境エネルギー政策研究所)
再生可能エネルギーの事業規模と資金調達の関連性をお話いただいた後、ミニ水力発電、屋根貸しソーラー事業、小水力発電、などの実例と、今後の方向性を示していただきました。
プレゼン資料 ↓
◎事業の規模と資金調達
■数百kW~数千kW
運営:事業会社・協同組合・NPO等
資金:数千万円~数十億円
調達:金融機関融資 出資・私募債
市民出資 補助金・助成金
■数十kW
運営:NPO・協同組合など
資金:数百万円~数千万円
調達:自己資金 私募債 補助金・助成金
■数百W~数kW
資金: ~数百万円
調達:自己資金 寄付 補助金・助成金
■比較的大きな事業規模の例
小水力発電/匿名組合市民ファンド
=富山県 小早月小水力発電=
・発電容量: 1000kWクラス
初期投資: 約10億円
・政府補助金: 約5億円
・市民出資: 約 5.7億円
予定利率 3%/年
返済期間 7年
■地域再エネ事業の資金調達の今後
・FITにより事業採算高まる(IRR~7%)
ー 投資回収 ~10年前後
・金融機関の融資の可能性
ー 事業採算→プロジェクトファイナンス評価
・様々なファイナンスの可能性
・地域事業のファイナンス
ー ベースは地域金融機関の融資
- 市民ファイナンスは意義と多様化
市民ファンド・オーナー出資等
- 私募債や疑似私募債
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■組織形態は、事業目的によって選択が変わる
・今後の継続的な事業拡大を考えるなら
・・・株式会社
⇒公益性を確保したいなら
株主を一般社団法人に
(一株一票ではなく一人一票)
・プロジェクト毎に組織を作るのであれば
・・・株式会社(SPC) 合同会社
・信託会社等を活用するのも一つの方法
・・・信託会社に支払うコストが必要
■資金調達にはどのような方法が良いのか?
・議決権を有する株主を少数にするなら
・・・普通株式と優先株式の組合せ
・銀行借り入れは、概ね半分までが目途
・・・銀行の審査能力はこれからの経験
・地域の人々から資金を募るのであれば
・・・劣後社債か優先株式
・地域外の人から資金を募るのであれば
・・・ファンド資金の活用
・国、県、市からの助成金、寄付金など
・・・一般社団法人の基金 他
■スキーム図(案)
出資/オペレーション/プロジェクトの三つの機能の関係性は
・オペレーション会社としては 株式会社(営業者)
・公益性を持った一般社団法人が株主として参加する
・プロジェクトは、それぞれの事業内容によって最適な形をとる
・・というのが基本的な考え方である。
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■質疑&ディスカッション
1.オペレーション会社の役割と責任、信用
〇 20年スパンの保全は可能か?
・世代を超えてマネジメントする仕組みが必要である
・若い人をプロジェクトに入れて引き継いでいくしかない
〇 借り入れについて
・10年は長い。(5~6年なら返ってきそうに思えそう)
・長期借入は金融機関ベースが良い
太陽光貸出の例でいうと
10年~15年
法定償却は17年
FIT(10KW以上)は20年
〇信託の可能性
・発電会社の資産が信託銀行に移るので手間がかからないが、コスト増となる
〇オペレーション会社が関わることの意味
・個人が事業として進めるのは辛い。⇒これをサポートできる
・事業主体を引き受けてくれる集団があると良い
2.資金の幅広い集め方
〇クラウドファンディングをどう捉えるか
・今のところは再エネというよりも、一般的な事業中心
・大きな金は集まりにくい感がある
・しっかりした取り組みをしないと信用を失いやすい
・出資、寄付、などいろんな形態がある
〇地域間連携で都会から資金を集められないか
・都会には原発のではなく、自然エネルギーを買いたいという人もいる
・事業をスタートする時の資金集めへの期待が持てる
・東京は圧倒的に人口が多いので期待できそう。
・福島、南相馬への支援も含めて上手にネットワークを作れると良い
・発送電分離を前提とした新たなやり方が考えられる
3.エネルギー全体の捉え方
〇 エネルギー供給問題との関連
・ローマクラブの「成長の限界」が提唱されたが、石油はまだなくなっていない
・シェールオイルなども含めて、これから先をどう見るかを考えるのも必要。
〇トータルのエネルギー利用を考えたい
・天然ガスによる地域発電を組み合わせれば、再エネの不安定性を補完できる
・新エネに限らず、省エネなど、エネルギーと街づくりも考えていきたい
・農業との共存を考えて、被災地に活かすコンセプトがあると良い。
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この後、「えこえね南相馬」のソーラーシェアリングの実例をもとに、組織形態と資金調達についてさらに考えました。
実施中のイベントは
ございません
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