10月27日に福島県内の再生可能エネルギーの
三つの先進事例を見学しました。
①三春町「田畑に太陽光」
~芹沢農産品加工所
②郡山市「メタンガスプラント」
~クリーンエネルギーネットワーク
③鏡石岩瀬牧場「ソルガムのエチルアルコール事業」
~東北農業支援ネットワーク
当日はお天気に恵まれ、秋晴れの見学会日和でした。
19名の方が参加しました。
南相馬の人: 12名
県外の人: 7名
①三春町「農地で太陽光発電」
~芹沢農産品加工所
三春町の農産品加工所の裏を50mほど登った坂の上に太陽光パネルを設置。パネルは 125.7cm x 97.7cmのソーラーフロンティア社のもの36枚。
(奥にもう1セットあります)
つながりぬくもりプロジェクトの協力で設置工事をしましたが、施行した いわき市の島村さんは、パネルや架台、基礎、などを持ち上げるのにずいぶん苦労したそうです。
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発電能力は毎時5キロワット、加工所内の冷蔵庫、保管庫などの設備と照明はすべて太陽光でまかなっています。
作っているのは、ミソ、漬けもの、もち、まんじゅう、凍(し)み餅、凍み大根など。蒸しパンと漬物をいただきましたが、とってもおいしかったです。
ちなみに、農作物の線量も国の基準の1/5の20ベクレル以下を目標にしていますが、三春は線量が低いのでほとんど検出されません。
いろいろとお話を伺いました。
「原発事故でたいへんな経験をさせられたので、原発に頼らない生活をしたいと思って、太陽光発電を導入しました。いろんな方たちに協力いただいて設備を入れて一安心したのもつかの間。行政から『農地法違反だから罰金300万円を支払いなさい。そのうえで撤去するように』と言われて仰天。結局、農地転用許可を取ったけれど、たいへんな苦労をしました」
「作っているピーマンが昨年は復興支援もあって売れたが、今年はなかなか売れない。『原発に負けないぞ』という想いで頑張っているけど、ときどきメゲソウになる。でもこんな風に、人が来てくれると、また元気が出ます」
(写真の左側が代表の会沢テルさん。笑顔が素敵な方です)
②郡山市「メタンガスプラント」
食物ゴミや残渣をメタン発酵させて、エネルギーとして再利用するプラントです。
自然・循環型移動式多目的バイオガスステーションを設置し、資源回収から再生エネルギー生産のための検証・メタン発酵効率の技術開発及びエネルギー再生のための技術開発を行うと共に、循環型社会への形成に対する寄与を目的としています。
バイオガスステーション 基本仕様
【CES500】
■大きさ:(㎜)W2,400×D8,400×H2,700
■重量: 本体 6,000kg
■有機廃棄物処理量 最大 500kg/日
■有機廃棄物再生量 最大(メタン) 50㎥
■ガスエンジン発電量
最大 10kW×8h = 80kWh/日
■太陽光発電量
最大 4kW×8h = 32kWh/日
(設備費用 約 1,000万円)
③鏡石岩瀬牧場
「ソルガムのエチルアルコール事業」
まず、田井中専務理事さんからのご説明。
福島におけるエネルギー農業に関する研究開発事業
「この事業の狙いは風評被害に負けない強い農業を望む農業生産者の選択肢を広げ、同時に農村システムの維持・地域の再生を目指すため、エネルギー(バイオエタノール)を取り出すための植物を栽培し販売する「エネルギー農業」に関する研究開発を行っています。」
「ソルガム」の栽培実験
ここでは2.7haの農地に、いろんな種類のソルガムを作付して、成長のしかたや栽培法を研究しています。
ソルガムはサトウキビに似た作物で、生育が早く、収穫量が多いのが特徴で、家畜の飼料としても利用できます。熱帯地方では主食として用いられるし、酒や菓子、ブドウ糖などの原料としても用いられています。
背の高いものは5mほどになります。
(田井中さんの3倍近くはあります)
茎中の液が甘いソルガムは、バイオエタノール原料としての可能性があり、資源作物としての研究が始まっています。
また、カリウム高吸収性植物なので、セシウム吸着による土壌除染効果も期待でき、福島県内の線量が高い地域10ヶ所ほどで移行調査もしています。
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1ha(1町)で 200トンの収穫になります。
・・・10トントラックで20台分 !!
◎1a (アール)では 2トン=2000kg
※ 1a=100㎡=30坪
⇒ 葉っぱを取り除くと 1.5トン
⇒ 搾汁すると 800kg
⇒ 糖度が15%だと、 120kgの糖分
⇒ 発酵させてアルコールにすると 90リッター
になります。
アルコール製造の機械は研究開発用に作られたもので、1ロットで200リッターの醸造が可能です。
発酵槽(エタノールリアクター)は写真のタンク型のものですが、ちょうど発酵中のソルガムが入っていて、ちょっと甘いドブロクのような香りがします。
発酵液を蒸留してエタノールを濃縮した後、さらに脱水装 置を用いて純粋なエタノール(無水エタノール=純度 99.5%)に精製します。
田井中さんに いろいろとお話を伺いました。
製造したバイオエタノールはアルコールですから、酒税法の対象となるのでなにやら規制がたくさんあって、ご苦労もされてるそうです。
また、
「コメ価格は税で半分ぐらいを補填しているのに、エネルギー作物にはそれがない。だから収益性を同じには判断できない。
「海外から高いコストで輸入することがいつまでも可能であるわけがない。純国産のエネルギー生産が持続可能な社会をつくるために必要。さらに、バイオエタノールは地場の工場も活かせるし、栽培、収穫、醸造、など一連のプロセスで生まれる雇用も大きい。
「農業を救うため、また、エネルギーの安全保障の面からも、皆で協力して取り組むことが必要です。」
という言葉に共感しました。
今回は、福島県内の先行事例 3カ所を見学させていただきましたが、それぞれにご苦労されながらも新たな世界を切り開いておられる。
その姿勢と情熱に感服するとともに、私たちもしっかりと取り組んでいかねば・・・という想いをあらたにしました。
関係者の皆さま、どうもありがとうございました。
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